低血糖症
ポイント

  • 低血糖症は、血中の糖分濃度が低下してしまう病気
  • 糖分(グルコース)が、不足すると様々な症状を示す
  • 症状は糖分の下がり方や低血糖症が継続時間、血液中の糖分濃度によって異なる
  • 元気消沈、体の麻痺、軽度の痙攣
  • 虚脱が激しいと昏睡や全身の痙攣
  • 体温が低下して意識が低下または消失すると命に関わる
  • 原因は幼犬で肝臓にグリコーゲンを蓄積する能力が低いため絶食(6時間以上)でもなる
  • 成犬は数日間食事を摂らなくても肝臓内に貯蔵したグリコーゲンを使って血糖値を維持
  • 寄生虫、腸障害、パルボウィルス感染、絶食、下痢や嘔吐の繰り返し、寒さ
  • に神経質な犬はなりやすい
  • 成犬~高齢犬(5歳以上)は、副腎皮質機能低下症、膵臓の腫瘍、敗血症などの疾患
  • 肝硬変などの重度の肝不全の時にも同様に低血糖を起こす
  • 糖尿病の治療のためのインスリン投与の過剰
  • 空腹、興奮、激しい運動など
  • 治療は家庭で砂糖水や蜂蜜液を与えて一時的に血糖値を上げる
  • 症状が激しい(痙攣発作など)場合にはすぐに獣医師に連絡する
  • ブドウ糖を含んだ輸液療法、その後、原因により適切な治療
  • 脾臓の腫瘍の場合、外科的に手術で腫瘍を切除する
  • 他の部位に転移している場合が多く、特殊な抗がん剤を併用して治療

syouzyou低血糖症は、血中の糖分濃度が低下してしまう病気です。食事によって取り込まれた糖分(グルコース)はグリコーゲンとして肝臓に蓄積され、エネルギーとして利用されます。これによって血糖値を維持することが出来ますが、糖分(グルコース)が、不足すると様々な症状を示します。そして血液中の糖分をエネルギー源としている脳の血糖値が低下すると脳が影響を受けて元気がなくなり、体の麻痺、軽度の痙攣が見られます。虚脱が激しいと昏睡やてんかんの痙攣よりあまり激しくない全身の痙攣を起こす場合もあります。体温が低下して意識が低下または消失すると命に関わる場合もあります。糖分の下がり方や低血糖症が継続時間、血液中の糖分濃度によって症状は多少異なります。

ganin幼犬(生後3ヶ月まで)では肝臓にグリコーゲンを蓄積する能力が低いために、6時間以上程度の絶食でも低血糖を起こすことがよくあります。成犬は数日間食事を摂らなくても肝臓内に貯蔵したグリコーゲンを使って血糖値を維持できます。原因は消化管内寄生虫、ストレス性腸障害、パルボウィルス感染、食事を長時間取れない、下痢や嘔吐の繰り返し、寒さによるエネルギー消耗などが挙げられます。また、神経質な犬は、深く考えたりしてエネルギー消費が激しかったり、胃腸障害も起こしやすいので、エネルギーの消耗が全体的に激しくなりやすいと言われています。成犬~高齢犬(5歳以上)では、ホルモンバランスの異常での副腎皮質機能低下症、インスリンの分泌が過剰になる膵臓の腫瘍、重度の感染症の敗血症などの疾患が原因で低血糖症を発症します。肝硬変などの重度の肝不全の時にも同様に低血糖を起こすこともあります。糖尿病の治療のためのインスリン投与が過剰になった場合にも低血糖を起こすことがあります。また、空腹、興奮、激しい運動などでも原因となります。

治療症状や血液検査で診察します。血糖値70mg/dl以下が低血糖症の目安で、血糖値が50mg/dl低下すると筋肉硬直、40mg/dl以下で命に関ります。家庭では砂糖水や蜂蜜液を与えて一時的に血糖値を上げるようにします。自分で飲むことができない場合には歯茎などの粘膜に、指で砂糖水をすり込んでやります。症状が激しい(痙攣発作など)場合にはすぐに獣医師に連絡する必要があります。血糖値を上昇させるためにもブドウ糖を含んだ輸液療法を行います。その後、原因により適切な治療を行います。脾臓の腫瘍(インスリノーマ)が原因の場合には、外科的に手術で腫瘍を切除することもありますが、すでに他の部位に転移している場合が多く、特殊な抗がん剤を併用して治療する場合もあります。