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ポイント
- 肛門周囲腺腫は、肛門と肛門嚢を取り囲む皮脂腺と汗腺が腫瘍化
- 症状は毛のない部分に黒っぽい小さなしこり
- 毛の生えている場所や尻尾の部分などにもできることも稀にある
- しこりが大きくなり舐めたり噛んだり皮膚が破れたりして出血したりする
- 排便のしぶりや細菌感染での化膿など併発することもよくある
- 一ヶ所だけと数ヶ所に発生する事もある
- 良性でも悪性に変化する事もある
- 原因は男性ホルモンが関係している為、去勢手術をしていない雄に多い
- 多くは雄の8歳~12歳の高齢犬
- 去勢した犬やメスなどが肛門周囲腺腫を発症した場合はほとんどが悪性腫瘍
- 治療は外科手術での切除が主
- ホルモンの関係もあるので、その時に去勢手術も併用して行う
- ホルモン剤や放射線療法を併用してしこりを小さくしてから切除する場合もある
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犬に特有の肛門周囲腺腫は、肛門と肛門嚢を取り囲む皮脂腺と汗腺が腫瘍化したもので、ときには包皮や尾根部にも発生がよくみられます。通常は毛のない部分に黒っぽい小さなしこりがありますが、毛の生えている場所や尻尾の部分などにもできることも稀にあります。一ヶ所だけと数ヶ所に発生する事もあります。犬の全腫瘍のうち、乳腺腫瘍や肥満細胞腫に次いで多く、良性の場合は小さなうち切除してしまえば完治しやすいですが、悪性の場合は小さなしこりでも完全に取除く事が難しく、他の場所に転移している場合もある為、治療は非常に困難となり切除しても再発が多いともいえます。また、良性でも悪性に変化する事もあり、しこりが大きくなり舐めたり噛んだり皮膚が破れたりして出血したりします。その為排便のしぶりや細菌感染での化膿など併発することもよくありますので、どちらにせよ切除する事が治療になります。大きくなればなるほど、切除が困難になり、切除の際に肛門を締める筋肉を傷つけるリスクもあります。
多くは雄の8歳~12歳の高齢犬で男性ホルモンが関係している為、去勢手術をしていない雄によく見られます。肛門周囲腺腫にホルモンが供給されなくなるために若い頃に去勢をした犬、メス犬にはほとんど発生しません。ただし、去勢した犬やメスなどが肛門周囲腺腫を発症した場合はほとんどが悪性腫瘍になります。
治療は外科手術での切除が主になります。肛門の周りの皮膚は伸縮が必要な為、皮膚に余裕がなく、大きく切り取る事はできません。できるだけ小さなうちに手術を行う事が大事です。ホルモンの関係もあるので、その時に去勢手術も併用して行います。外科手術が出来ない場合や、腫瘍が大きくリスクがある場合はしこりを小さくする為、ホルモン剤や放射線療法を併用して少しでもしこりを小さくしてから切除する場合もあります。
早期発見が大事ですので普段から愛犬を観察し、便のする回数が増えたり、長い間しぶる、肛門付近を舐めるなどがみられたら肛門をチェックしましょう。また、去勢、避妊手術も予防になります。