ポイント
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全身に血液を送るポンプの役割をしている重要な心臓の機能が低下して血液が体の隅々までうまく渡らず、どこかに異常が出る事を心不全といいます。特定の病気を指しているのではなく、心臓の異常をを示す広い意味でもあります。心臓は左心・右心に分かれていて、どちらに異常があるかによって、症状が異なります。左心不全では送り出される血液の量が減り、左心に血液がたまります。そのために呼吸器の症状を示し、初期にはあまり見られませんが、激しい運動をしたり、興奮した時などに息切れしたりします。症状が進むと運動や興奮の時でしかしなかった咳が、安静時でも咳をしたり、舌や口の中の粘膜部分が紫色になるチアノーゼ、呼吸困難になることもあります。咳は心臓が肥大して上にある気管を圧迫することでもなります。さらに、激しい場合は発作を引き起こして倒れることもあります。これは肺の血管に血液がたまり酸素交換が出来なくなるために、チアノーゼ、息切れ、発作などの症状があります。また、血液不足による食欲不振、元気消沈、下痢や便秘などもあります。右心不全では、血液を肺に送る右心の機能が低下します。肺に血液を送ろうとしても送れないので、全身から右心に血液が逆流して右心に血液が溜まって(うっ血)しまいます。この影響で腹部膨張の腹水、胸水、肝臓、脾臓のうっ血(水分が溜まる)、四肢の先端にむくみ(浮腫)など、これらが原因で食欲不振や元気消沈、尿減少、下痢、便秘、吐き気、肝臓の腫れなどを示すこともあります。右心不全は左心不全に合併して起こることが多く、左右両方の機能が低下すると症状が安定したようになる事がありますが、安定してように見えていても進行していることがあります。
先天性奇形以外ではある程度年齢を経たときに症状を示します。心筋症や僧帽弁閉鎖不全などの弁障害、狭窄、腫瘍、フィラリア症、心臓の先天性奇形などにより、心臓のポンプとしての機能の能力が減少したり、体の要求する血液を十分に拍出出来なくなることにより起こります。また、心臓以外の血管異常や事故、他の疾患による貧血や血液の病気などが心臓に負担をかけて心不全の症状を示す事もあります。
心不全が他の疾患から併発しているのであれば、それを治療します。検診により早期発見をして症状に応じて血管拡張薬の投薬により心臓に栄養を送る血管を膨張して心臓の負担を軽減します。心臓の機能強化を図る強心薬や症状が進み肺にうっ血やむくみがある時は、利尿剤などでも用います。薬の投与期間も一時的なものから生涯のものまであります。呼吸器に異常がある場合は、呼吸を楽にする気管支拡張薬など投与します。
日常生活において運動制限・興奮・ストレス・肥満・痩せすぎ・緊張など心臓に負担をかけないようにします。食事では、塩分の高い食事は高血圧になりますので、塩分を減らした食事療法を行います。しかし、症状が軽いうちに心臓用のフードに切り替えると、痩せてくる場合があり、痩せすぎも心臓には負担がかかります。しっかり獣医師と相談しましょう。