ポイント
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肺動脈弁狭窄症は肺動脈弁を含めた肺動脈が狭くなり、血液がスムーズに流れなくなることです。肺動脈は心臓の右心室から肺へ血液を運び、肺動脈弁はその血液が逆流しないように肺動脈の出入口に弁があるのです。しかし、肺動脈弁の弁の出入口が狭いため、心臓の負荷が増えて心臓は肥大化してしまいます。また、血液がスムーズに肺に流れない事により、血液中の酸素が取り込みづらくなってしまい、肺の血圧が低下で呼吸困難等の異常を示します。病気が軽い時は、少し元気がないぐらいで、ほとんど気づきません。ただし、重症になるとふらつきや呼吸困難を起こし、少し激しい運動をするだけでゼーゼーという呼吸をします。最悪の場合、心不全で亡くなる場合もあります。なかには、子犬のうちに死亡する犬もいます。また、四肢の先がむくんだり、腹水がたまるといった症状が現れることもあります。
肺動脈狭窄症の原因はわかっていませんが、先天的(遺伝的な要因)に肺動脈の根元が狭いためにおこる病気です。
病気が軽い場合は、運動や興奮に気を配るぐらいで、特別な治療は必要なくても通常の生活を送ることができます。軽度の場合でも症状緩和の目的で、強心薬、利尿薬などを内服治療になることもあります。しかし、症状が進行することがあるので、定期的な検査で経過観察が必要です。内科療法で症状が改善される場合もありますが、狭窄の程度がひどかったり、症状が重い場合には、特殊なカテーテルを使って狭窄部分を広げる手術が必要になることもあります。日常生活で気をつけたいことは、運動・興奮を抑える、塩分を控える、肥満、痩せすぎない、ストレス、緊張などに気をつけましょう。通常完治は無いので、生涯付き合って行く必要があります。