セルトリ細胞腫
ポイント

  • 症状は精巣委縮、乳房の肥大、前立腺過形成、左右対称性の脱毛やフケ、色素沈着、骨髄抑制など
  • 腫瘍の転移率は10%前後で傍大動脈や腸間膜リンパ節等の局所リンパ節に移転
  • 腹腔にある睾丸(無睾丸症、単睾丸症)の場合には腹部の硬結や膨満がみられる
  • 原因は高齢で無睾丸症や単睾丸症の犬に多発
  • 治療は陰嚢内にある睾丸を摘出する去勢手術
  • 皮膚病がある場合は男性ホルモン療法で経過を様子を見る
  • 転移した場合は放射線や抗がん剤治療を行う

syouzyou高齢で無睾丸症や単睾丸症の犬に多発します。多くが片側の精巣に発症し、両方にできるのは約10%です。腫瘍化した細胞から女性ホルモンが多く分泌される為に発症し、これをエストロゲン中毒といい腫瘍細胞が分泌するエストロゲン(女性ホルモン)の作用で反対側の精巣委縮、乳房の肥大、前立腺過形成、毛包・皮脂腺の委縮による左右対称性の脱毛やフケ、色素沈着、骨髄抑制などの症状がみられます。また腫瘍の転移率は10%前後で傍大動脈や腸間膜リンパ節等の局所リンパ節に移転します。陰嚢内にある睾丸の場合には外見的に睾丸の肥大に気づきますが、腹腔にある睾丸(無睾丸症、単睾丸症)の場合には腹部の硬結や膨満がみられます。

治療陰嚢内にある睾丸を摘出する去勢手術を実施します。睾丸が、1つまたは2つとも腹腔などにある場合ははっきり確認する為にレントゲンや超音波などを実施し、去勢手術をします。皮膚病がある場合は男性ホルモン療法で経過を様子を見ます。睾丸が3ヶ月~5ヶ月を過ぎても陰嚢内に降りてこない場合は、この病気になる確率が高くなりますので高齢になればなるほど気をつけなければなりません。もし転移した場合は放射線や抗がん剤治療を行います。

対処左右対称の脱毛や皮膚病、オスなのに乳房が大きくなるなどの症状がでてきた時は睾丸の有無と大きさなどをチェックしてみましょう。また去勢手術をすることにより予防にもなります。