ポイント
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副腎は、腎臓のすぐ上にある小さな器官でホルモンを数種類分泌する内分泌器官です。副腎皮質からはいくつかの副腎皮質ホルモン(糖の利用を制御する・電解質を制御する・生殖機能を制御する)が出ています。この副腎皮質の機能が低下してしまうのが、アジソン病(副腎皮質機能低下症)です。アジソン病の症状は急性と慢性があります。急性は原発性のもので慢性から移行したものです。急性は急な元気消沈、ふらつて倒れる、突然のショック、激しい筋肉の虚脱を起こし、昏睡となることもあり、また静脈が遅くなることもあります。慢性は元気消沈、食欲不振、筋力低下、嘔吐を特徴とします。さらに下痢(時に血便)、体重の減少が見られ、数カ月に渡って良くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行して行きます。また、多飲多尿もみられます。
副腎皮質ホルモン(糖の利用を制御する・電解質を制御する・生殖機能を制御する)の機能が低下してホルモンが十分に分泌されないことで起こります。ほとんどは、副腎皮質自体が自分の免疫反応(免疫介在性)によって副腎皮質が侵されるのと腫瘍や薬剤などで侵されたりして機能が低下しています。副腎皮質自身に病変が形成されたり、視床下部、下垂体疾患によるもの、長期間的のステロイド剤を突然やめた場合(副作用)に起こることもあります。急性は運動などや何らかのストレスにより起こるものなどがあり、全体的にメスの4.5歳に多く認められます。
急性の症状の場合、ショック状態を改善する為に緊急治療が必要となります。急性の回復後や慢性の場合は、不足している副腎皮質ホルモンの補充療法を生涯にわたるグルココルチコイド・ミネラルコルチコイドの投与が必要。長期間的のステロイド剤を突然やめた場合などの発症では自分で副腎皮質ホルモンをつくれるようになれば、投薬が不要となることもあります。また、ストレスで発症する場合があるので犬にかかるストレス(旅行やペットホテル、入院など)をなるべく与えないようにしましょう。予後はほとんどの場合、治療が適切である限りでは良好で一般的寿命を全うすることが出来ます。