ポイント
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急性湿疹(ホットスポット)、別名:化膿性外傷性皮膚炎は、急性に発症し、脱毛を伴った赤くジクジクした皮膚炎が局所的(集中して)に発症している状態の事を言います。広がり方は急速で、ニキビサイズぐらいから半日~1日で500円玉ぐらいになります。また、炎症を起こしている箇所を噛み、別の場所を噛む事によってその部分も炎症を起こし、1箇所から次の日には何箇所も発症している事もよくあります。被毛は炎症を起こしている部分はごっそりと抜け、掻き壊して出血しています。いくつもの傷ができるため、発症した箇所からは血や膿、体液などが滲み出てくる場合もあります。また、体液と膿でベトベトになっていて、周りの毛もベトベトが乾燥して、カピカピになっています。犬は非常に痒がり舐めたり、患部を地面に擦りつけたりします。中には、人が触ろうとすると痛がって嫌がったり、犬によっては噛もうとすることもあります。
気温、湿度の上昇とともに増えてきて、春から夏にかけてのじめじめした蒸し暑い季節や雨や飲み水、暑さで濡れた場所に寝込むなどで皮膚が蒸れてそのままにしておくと皮膚の常在細菌が増殖して発症しやすくなります。表皮蒸れて代謝が変化することによって皮膚環境が悪化して痒くなり、局所を自分でかじったり、引っ掻いたりする事によってブドウ球菌などの細菌が浸入して発症します。長毛種によく見られ、かじる原因としてノミの寄生や異物、刺激物の付着などによるかゆみがあります。皮膚が弱い犬、アレルギー体質の犬は、皮膚のバリア機能が弱いのでなりやすく、アレルギー、被毛の不潔や傷などの環境などで体に汚れが溜まる場合にも、常在細菌が繁殖しやすくなります。なりやすい犬種は、アンダーコートが密生している犬に多い傾向があり、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、シベリアンハスキー、柴犬などが多いです。
サイズが小さい場合には抗生物質や消炎剤、塗布の投与。アレルギーが原因であれば、抗アレルギー薬(ステロイド等)などを投与します。サイズが大きな場合や症状がひどい場合にはこれらの内服薬や副腎皮質ホルモン(ステロイド)なども同時に投与します。また、痒みからくる自傷を避けるために首にエリザベスカラーを装着します。患部から出る体液が多い場合や通気性をよくするために毛をカットします。箇所を清潔に保てるようにして消毒薬や薬用シャンプーなどの外用薬を継続します。症状が改善されれば、患部はかさぶたになり、毛も数週間で生え揃います。一度なってしまえば、再発も多いので、春から夏にかけては被毛を清潔に保ち、濡れたら綺麗に乾かすなどの対策である程度は予防できます。