甲状腺腫瘍
ポイント

  • 甲状腺にできる腫瘍には良性(甲状腺腫)と悪性(甲状腺癌)がある
  • 症状は犬の首の腹側(喉のやや下の左右)に触れた際、硬いしこり
  • 場所により吠え声の変化、咳や呼吸困難、食べ物を飲み込みにくい、リンパの浮腫
  • 10%程度の割合で多食、体重減少、活動亢進(動き回るやそわそわ)、多飲多尿など
  • 良性の場合、時間とともに大きくなり、甲状腺ホルモンの生産を過剰に引き起こす傾向がある
  • 悪性の場合、近くにある気管や、食道、血管、肺やリンパ節部分などに移転
  • 一番移転しやすいのが肺、何年もかけてゆっくりと肺に転移病巣を形成することが多い
  • 悪性の確率は90%で年齢は5~15歳の平均10歳前後、高齢犬に多い
  • 原因もはっきりとしたのはないが、長期間の甲状腺の刺激といわれている
  • 甲状腺機能低下症の犬に過剰な甲状腺ホルモンを与える
  • ヨウ素(海藻類など)の過激摂取で甲状腺が刺激をうけて徐々に甲状腺細胞が変化する。
  • 良性腫瘍が、それが時間と共に悪性腫瘍に異変することもある
  • 治療は腫瘍化した甲状腺の外科的な切除
  • 甲状腺の周囲には重要な臓器があるので腫瘍がすべて取りきれないこともある
  • 腫瘍が転移していない、完全に切除できる場合は手術後最大3年間と寿命が伸びる
  • 完全に切除できない、大きい場合は放射線または化学療法(抗ガン剤投与)を併用

syouzyou甲状腺は気管の両側にある組織で機能は、甲状腺ホルモンを生成して分泌することで 犬の体の代謝を調節します。甲状腺にできる腫瘍には良性(甲状腺腫)と悪性(甲状腺癌)があり、良性は、時間とともに大きくなり、甲状腺ホルモンの生産を過剰に引き起こす傾向があります。悪性の場合、ホルモンの生産を過剰に起こさない代わりに癌細胞が近くにある気管や、食道、血管、肺やリンパ節部分などに移転していきます。なお一番移転しやすいのが肺で、何年もかけてゆっくりと肺に転移病巣を形成することが多いとされています。また悪性の確率は90%といわれていて、ビーグル、ゴールデン・レトリバー、ボクサーに多く発生する傾向があり、年齢は5~15歳の平均10歳前後、高齢犬に多いのです。典型的な症状は犬の首の腹側(喉のやや下の左右)に触れた際、硬いしこりがあります。場所によって腫瘍が気管や咽頭を圧迫して、吠え声の変化、咳や呼吸困難、食べ物を飲み込みにくい、リンパの浮腫がみられます。10%程度の割合で多食、体重減少、活動亢進(動き回るやそわそわ)、多飲多尿などもあります。

ganin甲状腺腫瘍の原因もはっきりとしたのはありませんが、考えられるといわれているのが長期間の甲状腺の刺激といわれています。
①甲状腺機能低下症の犬に 過剰な甲状腺ホルモンを与える
②甲状腺ホルモンの材料になるが摂りすぎると甲状腺の病気の原因になってしまうヨウ素(海藻類など)の過激摂取で甲状腺が刺激をうけて徐々に甲状腺細胞が変化する。
甲状腺の一部に異常な細胞増殖が発生した場合、良性腫瘍が発生しますが、それが時間と共に悪性腫瘍に異変することもあります。

治療圧迫による苦痛を減らすためにも、腫瘍化した甲状腺の外科的な切除が選択されます。ただし、甲状腺の周囲には血管、神経、気管、食道など重要な臓器が密接していますので、状況によっては腫瘍がすべて取りきれないこともあります。腫瘍が転移していない、完全に切除できる場合は手術後最大3年間と寿命が伸びるといわれています。 完全に切除できない、大きい場合は放射線または化学療法(抗ガン剤投与)を併用します。

対処甲状腺腫瘍は腫瘍全体の2%~3%に発生するといわれています。発生率は低いですが、発症すると悪性度が高く、気づいたときには他の部分に転移をしている確率が35%以上となっています。早期に発見、早期に診療を受けることが最も重要で、早期発見でサイズが小さいと外科手術で治癒が期待できる悪性腫瘍のひとつです。腫瘍が大きくなると食道や気管に浸潤して手術による切除も難しくなりますので、日頃から首の周りも触りしこりなどがないかチェックしておきましょう。