ポイント
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元気消沈、うとうとよく寝る、寒がる、運動したがらない(運動不耐性)、感覚が鈍くなる、食欲・量が増えていないのに太る(基礎代謝の低下)、皮膚の乾燥があり痒みのない脱毛(左右対称・非対称・局所)で初期は耳や鼻すじが多く、腹部の皮膚は色素沈着(黒ずむ)、尻尾の毛だけ抜ける、脂漏症(皮膚が脂っぽい)や免疫低下で感染しやすくなる為に膿皮症などの皮膚炎にかかりやすくなり痒みを伴うこともあります。また、脈がの心拍数が遅くなったり、メスの発情(生理)の周期がずれたり、止まったりすることもあります。
甲状腺は首の上部にある小さな腺で産生・分泌される甲状腺ホルモンは健康な皮膚、毛、体重、体温、免疫力、成長、警戒・注意力、繁殖などをコントロールする元気の元となるホルモンです。この甲状腺ホルモンの産生が不足になると甲状腺機能低下症になります。まずこの病気は4つに分類され①原発性甲状腺機能低下症②二次性甲状腺機能低下症③三次性甲状腺機能低下症④先天性甲状腺機能低下症で、犬の場合90%で①原発性甲状腺機能低下症といわれています。原発性甲状腺機能低下症は免疫介在性のリンパ球性甲状腺炎(自分の組織細胞を外から侵入してきた異物と誤認、それに対する抗体を産生してしまうこと)と特発性萎縮(原因不明)の2つの原因です。この病気の一部には遺伝的要因の関与しているといわれていますが明らかではありません。他に腫瘍破裂、自然発生の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、ステロイド、放射線療法、下垂体切除、甲状腺発生異常、食物性ヨウ素の摂取不足などが原因になることもあります。また、全体的に中・大型犬が多く、小型犬の発症はあまり見られません。
血液検査により貧血、高脂血症、高カルシウム血症が認められることがあり、それを否定する為には血液中の甲状腺ホルモン量を測定します。診察が確定すれば甲状腺ホルモン製剤の投与をおこないます。甲状腺ホルモン製剤を内服することによって、症状は改善されれば、用量を調節しながらホルモン補給療法(足りないホルモンを補う)を続けます。治療薬は他の病気が原因で起こるものを除いて生涯必要になる場合が多いです。